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小説『森一族』

戦国時代を彗星の如くに生きた森一族の小説です。 SINCE:2008/9/20

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公開前よりご訪問くださり、ありがとうございます。

2008年9月20日0時より公開します(恥)。
 『第一部 森可成編』の「プロローグより順次掲載予定です。
週1のペースで更新できればと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
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ご挨拶

うきき
 みなさまこんにちは。当サイト管理人の「うきき」と申します。
戦国時代を彗星の如くに生きた森一族を愛してやまない人間です。
 森一族に巡り合ってからの人生、四六時中彼らのことを考える危険な日々ですが、文献を読みあさったり、史跡をめぐって森家を知りたいと思う自分とはまた別に、彼らはこうであったのか、ああだったらよいな、と自分の想像力(または妄想)を織り交ぜて自分なりの世界観ができあがってゆきました。

 そして、文章の綾も判らぬ自分ではありますが、部分部分の想像の世界をつないていって、ひとつの小説にしてみたいと願った次第です。
 さらに、ド厚かましいことには、森長可公生誕450年にことよせて2008年9月20日より公開することにしました。
ただただ、自分の楽しみとしてこっそりと書きつづらせていただきたいと思います。

 すごくスローな人間なので、更新がどうなるのか判りませんが、週1更新を目指しております。
どうか生暖かく見守っていただけると感激でございます。

取扱書

 この小説は、自分の想像に任せたいわば、「※この小説はフィクションであり、実際の団体とは一切関係ありません。」という世界であります。
どうか、史実とは関係なしに、単なる物語としてご覧ください。

 ただ、ストーリー上にあまりにも私の強引な想像を差しこんでいる場合は、各記事の下に補足とかを差しこませておきたいとも考えております。


【お願い】
ほんとに、単なる物語としてご覧ください。あくまでも管理人の想像がベースですので。
この小説サイト内に関するご感想・ご質問などは、本家RANMARU!の掲示板には書かずに、このサイト内のコメント欄にご記入お願いします。
管理人はトラックバックの意味がわかりません。

森可成編 プロローグ

 夏。

 灼熱の白光に照りつけられながら、森可成が家臣らとともに蓮台村の木曽川のほとりを馬を歩んでいた。

 泥とともに土手に打ち上げられた魚や水草の腐った臭気が熱気のせいでむせかえらんばかりである。
「臭い。鼻が曲りそうでござるな。」
死んだ魚介の肉に群がっていた蝿たちが、馬の吐く息の臭いにつられて、可成たちの元へも寄ってきた。
「連日の大雨により、木曽川の土砂が堤よりあふれ出てかくのありさまでございます。この辺の田畑の作物は半分は泥田となって手のほどこしようもありませぬ。」
寄り来る蝿を乾いた手で払いつつ、近松新五左衛門が言った。
あまりの臭気にさすがの可成も息を押し殺して腕で鼻をふさぐ。
「…いかんな。これではじき病になる者も出てこよう。」

 昨日までは荒れ狂ってどす黒い土砂を村々に押し流して、若い稲穂の緑を一瞬で暗黒に染めた
木曽川の水面が、今朝は、人間の悲哀とは無関係にまばゆいほどに輝いて白色の光りを放っている。


 木曽川は鬼であり、菩薩である。
あらゆる生物の命を慈悲深く助けた翌日には、雷のように波をあげてそれを奪う。秋の実りの望みを失った村人たちが、このむせかえるような臭気の中で、力なく木片を拾ったり、巻き添えを食った動物の死骸を引いたりしている。

 可成たちの馬のすぐ傍では、泥混じりのムシロに座らされた老婆がいて、蝿を追い散らす気力もなく、ただ、呆然としてこのあり様を眺めていた。

  蓮台村でも、可成の居城や重臣たちの住まう屋敷は高台にあり、ほぼ水害の及ばぬところである。しかし低い土地に住む村人の家々や田畑は水に浸かり、今食べるものさえ事欠く者たちであふれ
かえって可成の頭を悩ませた。

 父・可行が故郷の森村を離れてこの蓮台村に城を築いて以来、森家はこの木曽川下流の土地を牛耳るようになった。しかし、いずれにせよ森家の領地は、水辺の脅威に常にさらされていた。
雨季に水量があまりにも増せば、木曽川は溢れかえって提を破壊し、その先にある人間の営みに被害を及ぼす。
村が荒れれば、村人は可成に助けを求めてくる。
しかし、可成とて、度々襲う木曽川には如何ともし難い。
「ああ!もっと、よい土地へ行きたい!!」
「村人を捨てるおつもりですか?」
「違う!村ごとよい土地へ行きたいのだ!!!」

 可成の目の前に、農民には似合わぬ白い肌をした娘が小走りに走っている。
白い肌といっても、素足も腕も、顔までもが泥だらけであったが一人だけ目を潤ませ清々しい顔をしておおいに笑っていた。
可成に気づかずに通り過ぎようとした娘を近松新五左衛門を「こら!」と叱ると、娘は何をとがめられたのかも判らず、可成が何者かも判らず、じっと馬上の人を見ていた。
 「何が嬉しいのか。」
可成が問うと、娘は頭をさげることも知らずに、ただ、二、三歩引いて
「寺の観音様が泥の中にいらっしゃったでな。よかったよかった。」
と、泥まみれになった物体を差し出して可成に示した。
今日の飯を食うことも事欠く娘が、泥まみれの木彫りの粗末な仏像を抱いて嬉しそうである。
今、その仏像を得たところで、何になろう。
可成の苦々しい表情に娘は無垢な笑顔を返し
「きれいに洗ってあげるんじゃ。」
と、木曽川へと走っていった。
 可成は苦笑に堪えかねて相づちを求めるかのように近松のほうを向くと、可成とは反対に近松は目を潤ませて、信心深くて健気な娘の姿を追っていた。
 驚いたことに、娘は自分の身体ごと水に飛び込んでしまった。
可成と近松の二人はともに無言を保ち、それぞれの思いで娘を見つめていた。
娘はやがて粗末な着物を脱いで腰に巻きつけ、どこからともなく青々とした草を摘んできて丸め、白い肌を顕わにしながら手にした草で仏像を洗い清めていた。
きらめく水面で若く白い肌をさらす娘のまばゆい姿から男ニ人は目を離せぬまま、しかし先に口を開いたのは、近松であった。

「お英様もあのような信心深い御方なのであらせられましょう。」

 今日の暑さは、額にかく汗もじりじりと音がしそうなほどである。
むせかえる泥の匂いと死臭の上に、更に「英」というその名を聴いただけで、可成の心はぐっと重くなった。

 英には、あの娘のような笑顔もないし、あのような天真爛漫さもない。
ただただ暗くて面白味に欠ける娘なのである。

その娘を嫁に貰えと、織田信長が言ってきたのだ。
「まったく…ついておらぬわ…。」
可成は押し黙って憂鬱そうに木曽川のほうを見ていた。
やがて仏像を洗う娘のそばに何人かの娘たちが寄ってきて、
身体を洗うついでに、すいすいと泳いでいたのだった。

工事中です。

 
せっかくご訪問くださいましたが、申し訳ございません。
『第二部 森蘭丸編』は、第一部の連載が終了してからの公開になります。早くここまでこぎつけたいものです。

工事中です。

 
せっかくご訪問くださいましたが、申し訳ございません。
『第三部 森長可編』は、第一部の連載が終了してからの公開になります。長い道のりとなりそうです。

工事中です。

 
せっかくご訪問くださいましたが、申し訳ございません。
『第四部 森忠政編』は、第三部の連載が終了してからの公開になります。ここまでの長編にできるのだろうかと、自分でも疑問に感じます。

第一話:「与三」

 森可成は若い頃には「与三」と名乗り、浪人分として美濃の斎藤道三の弟である長井隼人道利のもとに転がりこんでいた。

 与三は頭の回転が早くて勝機に対する嗅覚に勝れ、合戦につけても情勢につけても全体を把握して適確な判断ができた。実際に与三が予測した通りの事態になって長井隼人や周囲の者たちを驚かせたことが事が何度あったであろうか。
 その度に、与三は己の知恵が人に優っていることを確信し、この事を斎藤道三にもよく理解してもらうべきだと思った。ゆえに、浪人という身の上であっても、その叡智に満ちあふれた発言を人々の面前で遠慮することは無かった。
 
 しかし与三の正しさを見せつければ見せつけるほど道三の左右にいる家老たちは与三を憎みはじめ、「浪人ふぜいで大口を叩く生意気な奴だ。」と、事あるごとに悪口して、与三を制止するようになった。それに臆して発言を遠慮する与三ではなかったが、あの小うるさき者たちが家老である限り、彼が斎藤家では頭角を現せないのが明らかだ。




 与三は夜ごとゴロリと横になっては天井を見上げたまま、ここは自分のいるべき場所であろうかと自問自答を繰り返していた。
「私が常に何かにいらだちを感じ、どこにいても自分の居場所では無いと感じるのは、ただ自分に我慢が足りないせいであろうか…。」
 戦国の世に乗じた強者たちは、周りをどんどん食い尽くして大きく膨らんでゆく。それなのに、与三は二十を軽く過ぎてもまだひとかどの将にもなりきれていない。何者にもなれていない。
しかし、何をどんなに思いつめてみても、与三の帰る先は、父が陣取る小さな蓮台城があるのみ。
ひとつの小さな足がかりもつかめない己の現実を思うと涙がこみあげてくる。

 それでもなぜだろう、目を閉じれば、与三は大将格の名馬にまたがり、多くの兵を率いて戦場を駆けめぐる己の姿がはっきりと思い浮かぶ。青々とした天には、純白の森家の鶴丸紋の軍旗が翻る。大将の居所を示す大きな馬印が自分のために高々と掲げられ、その場所こそが戦場の中核、戦の大本陣であることを示し、与三は豪奢な具足を身にまとって采配をふるい、合戦そのものを自らの意志で動かしている。
天下を左右する合戦に違いない。
__________これは、自分の未来に関わる予感ではないのだろうか。
それとも、清和源氏の血がもたらす先祖の英霊たちの記憶が与三の心に映し出されているに過ぎないのであろうか。これがただの妄想であるならば、天に浮かぶ月が欲しいと必死に手を伸ばすような、何と悲しい夢であろうか。


 同じ部屋の足元には、故郷より伴ってきた五人に満たない家来達が、衝立(ついたて)を隔ててぐっすりと眠る。与三は戸板と障子を少し開け放って部屋に月の光を入れ、家来たちの寝息を聞きながら物思いに耽っていたが、突然、表から戸板に誰かの手が伸びてきて戸板を開けた。障子越しに見知った男の影が広がる。影の主は長井伝九郎だ。うち沈んでいた与三だったが、その影を見ると心の奥から嬉しさがこみあげてきた。
 伝九郎が障子を軽やかに開けると月明かりとともに、十代ならではの育ち盛りの細い姿を晒した。伝九郎は口角をあげてエクボを見せつつ部屋にトン、と上ってきた。伝九郎とは、長井隼人の甥で今年、十六歳になる。与三よりは随分と年下だが、とりわけ仲がよかった。
「さてはさては、この一大事に何をふて寝しておるのやら。」
伝九郎が言い終わるが早いか、与三は反射的に起きあがった。
「何が起きたのだ。」
「あははっ!また尾張のうつけが城下に忍びこんで火をかけた。」
「合戦か!!!」
両眼を見開いて興奮する与三を見て破顔一笑、伝九郎は他人事のようにおかしげに笑い飛ばす。
二人の声に与三の家来たちも目を覚まして起きだした。
合戦ほど与三の心を弾ませるものはない。この心にかかったモヤも戦場で晴らせばよい。戦場での明確な手柄は誰にも否定できないものである。そしてきっとこの合戦が自分を高い所に押し上げてくれる。与三は伝九郎そっちのけで起きあがって障子を開け放ち、縁側へ出ていった。とたんにこぼれるような月明かりが若々しい与三の姿を照らし出す。
 開け放った外に見える城下はまるで静かである。
合戦など起こっていない。城下の小さな騒ぎで始終したようだ。
与三は再び、心を曇らせて、たちどころに暗い表情に戻った。
「いつものこと。早々と逃げて行ったわ。」
伝九郎はカラカラと笑いながら、どっかと腰を下ろして与三を見た。家来たちも座ったままポカンと与三を見上げている。

 伝九郎のいう”尾張のうつけ”とは、尾張の織田信秀の嫡男・織田信長の事である。
若い少年であるが、ちょくちょく美濃国までやって来て城下に侵入しては、本当に些細な嫌がらせを繰り返した。
「信長とは、まるで小蝿のようだの。大した事もせず、追い払っても追い払ってもまたやって来る。」
伝九郎のこの言葉に、与三の鍛え上げた腕の筋肉がピクリと反応した。外へ向けていた顔をゆっくりと伝九郎に向ける。
「たとえ小うるさい蝿でも、相手は尾張の織田家の嫡男だ。どうにか、我が手であれを討ち取れないものか。」
そうすれば、皆、与三の素晴らしさを認めざるを得ないだろう。与三は、立ちあがったまま唇を噛み、拳をギュッと握りこんだ。
「信長を討ち取ってやる。」
与三はやると言えば、やる男だ。きっと次に織田信長がいたずら心にも美濃に入ってくれば、与三は信長を待ち構え、計略を以てその首をからめ取るだろう。そうだ、それしかない。
伝九郎は膝を立てて座ったまま、にやにやと笑い
「わしも人を驚かせる手柄を立てたいものよのう……。」とつぶやいた。
与三がハッと我に却って、伝九郎に言った。
「そなたが手柄を立てられぬはずかなかろう。」

【第一部 森可成編】登場人物

【森家】
森可成(与三):第一部の主人公。尾張・蓮台村出身。美濃の斎藤道三に仕え、道三の弟の長井隼人のもとで浪人分としている。
森可行:森可成の父。蓮台城城主。
武藤兼友:森可成の家来。五郎右衛門。



【美濃国斉藤家】
斎藤道三:美濃守護代斉藤家の名跡を奪ってのしあがってきた。
長井隼人:美濃の斎藤道三の弟。可成(与三)の直接の上司。
長井伝九郎:長井隼人の甥。与三とは大の仲良し。(隼人の甥の名が未詳のため、管理人が勝手に”伝九郎”と命名してしまいました。)
余語盛種:もと斎藤家の家臣。信長に乞われて信長の家臣となる。
帰蝶(濃姫):斎藤道三の娘。
林新右衛門常照:斎藤道三の家臣。
:林新右衛門の娘。
西村次郎・小次郎:長井隼人の小姓兄弟。オリジナルキャラです。)


【尾張国織田家】
織田信長:織田弾正忠家・織田信秀の嫡男。幼い時よりすでに那古野城主。
織田信秀:信長の父。織田弾正忠家の当主。名目上は尾張守護代下の三奉行の一人だが勢力のある家柄。
 

プロフィール

うきき

Author:うきき
森一族の小説を書こうとしています。

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